エルノ・ローザ The ODYSSEY|オデッセイ解説
日本 1st アルバム
超絶技巧と豊かな感情表現を併せ持つ鬼才エルノ・ローザが
18作曲家、20作品を熱演! CD2枚組 \4,500(税込)

早くも反響多数のアルバムです。
FM大阪で推薦されました。
CD2枚組 158分の中で、プロも絶賛する超絶技巧と抒情性・音楽性をたっぷり楽しめます。
「いろんな時代・いろんな国に訪れるタイムトラベラーになった気分で聴いほしい」とは、エルノ・ローザ本人のメッセージで、 このCDのコンセプトです。 タイトルの「オデッセイ」には、長い旅、冒険…などの意味があります。日本にまでたどり着いたエルノ・ローザ自身の人生とも 重ね合わせているのでしょう。必聴です!!


●解説●
◆◆◆CD1枚目◆◆◆
@〜C Cesar Franck/セザール・フランク(1822-1890)
   Sonata for Violin and Piano A-major  
     ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(1886作曲)
      第1楽章 Allegretto ben moderato
      第2楽章 Allegro
       第3楽章 Recitativo-Fantasia
        第4楽章 Allegretto poco mosso
このヴァイオリンとピアノのためのソナタは、最も人気のある室内楽と言っても過言ではありません。   スムーズでとてもロマン的で、表情豊かな音色を持つ、フランクのこの傑作は、   生徒のドビュッシーやショーソンにも影響を与えたのは確かです。   第1楽章は穏やかで、続く第2、第3楽章での壮大なロマンの物語への導入となります。   序盤のヴァイオリンのカデンツはとても有名です。

  フランクはロマン的で、表情豊かに、この作品を書きましたが、にもかかわらず、   バッハやフランスのバロックの影響が明らかに見て取れます。第3楽章の終わりにニ長調で   突然の嵐のようなフィナーレが訪れます。

  第4楽章のカノンはバロックのカノン技法へのオマージュです。   フランクはバロック様式のエキスパートでもあります。最も人気のあるクラシック音楽の旋律です。   ロマン期の作曲家が、こんなにも見事に、特別で魔法のような優しい音色のカノン様式のテーマを   書き上げることは、稀有なことです。

  1886年にフランクは、このヴァイオリンソナタをベルギーのヴァイオリニスト、イザイの   結婚祝いとして、書き上げました。イザイは、この曲を、ブリュッセルやパリなどで行われたツアーの中   で演奏しました。ピアノ伴奏は彼の兄弟でした。   彼がこの曲を最後に演奏したのは、1926年のパリです。この時のピアノ伴奏はY ナットです。   この作品はフランクの代表作となり、室内楽の中でも1番、皆に受け入れられた楽曲とも言われたほどです。
D Carol Szymanowski
  カロル・シマノフスキ(1882-1937)
   The Fountain of Arethusa
      アレトゥーザの泉〜神話Op.30より(1915年作曲)
この曲は古代ギリシャの神話をもとに、作曲されたもので、不思議な神秘の世界を表現しています。 神秘的な世界観のあるメロディは、シマノフスキの作品の特徴です。
E Pjotr Iljitsch Tschaikowski
  ピヨートル・イリイチ・チャイコフスキ−(1840-1893)
   Valse-Scherzo Op.34
      ワルツ・スケルツォOp.34(1878年作曲)
のびやかな旋律が美しい楽曲です。
このように、シンプルで素直、そしてロマンティックな音色がチャイコフスキーの作風です。 それゆえに、彼の作品は多くの人の記憶に残るものとなっているのでしょう。 チャイコフスキーにとって音楽は日夜、自然に彼の内面からあふれ出てくるもので、 彼はそれをひたすら書きとめていたそうです。 ロシアの伝統的なロマン音楽の世界において、彼の後も多くの作曲家が活躍しましたが、 彼ほどのレベルに到達することはなく、ただ彼の作品をまねただけというようなことも、よくあったようです。 チャイコフスキーこそが、真のロマン期の音楽を作り上げた作曲家でした。
F Niccolo Paganini
ニコロ・パガニーニ(1782-1840)
      24 Caprices for Violin Op.1 No.1 E-Major (arr. Robert Schumann, Edited by Ernoe Rozsa)
      24のカプリースOp.1 No.1 ホ長調
   (シューマン編によるピアノ伴奏版、エルノ・ローザ編ヴァイオリン)
パガニーニは18歳で、ヴァイオリンソロのための奇想曲作品1を書きました。
彼の父親はとても厳しく、地下室での練習を強いられ、さぼれば食事を与えてもらえないほどでしたが、 若くして、前例のない素晴らしいヴァイオリンの技術を手に入れました。 この作品は、今日でも、技術的に最高レベルのものであり、同時に最も美しいヴァイオリンの楽曲でもあります。 パガニーニの演奏した奇想曲を聴いて、人々は彼を超常的なヴァイオリンの才能をもつ悪魔のようだと言いました。 厳しい練習や、おそらく冷たい部屋で、十分な食事をもらえない辛さなどが、この素晴らしいヴァイオリニストを誕生させたなど、 誰も知りませんでした。 多くのヴァイオリニストが彼と同じ演奏をしようと挑戦しましたが、パガニーニの作品を演奏するための技術習得方法が分からず、 失敗していきました。
シューマンはとてもパガニーニを尊敬していました。 そして、シューマンだけが奇想曲作品1すべてにピアノ伴奏をつけました。 それにより、この調和のとれた最高峰のヴィルトオーソ音楽が出来上がったのです。
No. 1 (アルペジオ リコシェ)

G Niccolo Paganini
  ニコロ・パガニーニ(1782-1840)
I Palpiti Op.13
      イ・パルピティOp.13
      ロッシーニのアリア 「こんなに胸騒ぎが」 による序奏と主題と変奏曲
   (カデンツァ:エルノ・ローザ)
この作品はパガニーニが有名な「24のカプリース」を作曲した次の年(1819年)に書かれたといわれています。 パガニーニのヴァイオリン作品の中でも「イ・パルピティ」と「魔女たちの踊り(Le Streghe)」は 特に美しいイントロダクションで始まります。そして、「イ・パルピティ」は1番長いイントロダクションを持ちます。 この作品はイ長調で書かれていますが、変ロ長調で演奏されることがよくあります。 今回、私たち”ローザ&山口デュオ”はスタンダード・チューニングを採用して、イ=440Hzで演奏しました。 「イ・パルピティ」とは鼓動を意味しており、そのとおり、この曲のテーマには、とてもシンプルで心地よいリズム感があります。 この作品は、高難易度のヴァイオリンの演奏技法のオンパレードです。これらの技術は、パガニーニやそれ以降のヴァイオリニスト (ヴィエニャフスキーやイザイ、サラサーテなど)が、習得していったものです。 この録音は、パガニーニが書いたオリジナル版の楽譜に忠実に、ノーカットで演奏しています。
H Jenoe Hubay
  イェネー・フーバイ(1858-1937)
   Hejre Kati Op. 32
   おいでよ、カティOp.32
   チャールダーシュの情景第4番(1882−1886作曲)
   (カデンツァ;エルノ・ローザ)
ハンガリー人ヴァイオリニストのフーバイは作曲家であり、教師でもありました。 この曲はジプシーのダンス音楽をベースにして作られてものです。 ジプシーならではの音楽的要素やリズムを持ち、ハンガリー音楽の中でも有と名なフーバイの代表作の1つです。 この作品は3つのパートに分かれます。イントロダクションと変奏とチャールダッシュです。 伝統的にハンガリー人ヴァイオリニストはイントロダクションにカデンツと小節をいくつか加えて、独自のスタイルにアレンジして演奏します。 これは古いダンス音楽なので、奏者の創造や直観を加えることが許されるのです。 サラサーテの「チゴイネルワイゼン」も同じ伝統の中で書かれており。ステージ上での即興で楽譜にないカデンツなどを少し加えたりします。 この録音では、フーバイのオリジナルの楽譜の内容をすべて演奏したうえで、カデンツの部分に関しては、 私、エルノ・ローザの独自のカデンツとヴァイオリンパートの小節をいくつか追加して演奏しています。
I Rimsky-Korsakov
  リムスキー・コルサコフ(1844-1908)
   Flight of the Bumblebee(arr.Jascha Heifetz)
   熊蜂の飛行
   (ハイフェッツ編によるピアノ伴奏版、エルノ・ローザ編ヴァイオリン)
リムスキー・コルサコフはロシア人の作曲家です。 「熊蜂の飛行」は、歌劇「サルタン皇帝の物語(The Tale of Tsar Saltan)」の第3幕の最後の曲です。 サルタン王の息子、グヴィドーン王子が魔力で蜂に変えられ、父王のもとに飛んでゆくときの迫力ある蜂の飛行をシーンの楽曲です。 ハイフェッツがヴァイオリン向けに編曲して以来、アンコールとしてもとても人気のある至高の楽曲です。 原作のオペラではフルートが「レガット」で演奏していますが、ハイフェッツは「スピカート」(非常に速いスタッカート)に変えています。 そして、リアルな熊蜂の羽音、臨場感を出すことが要求されている楽曲です。 時間的には短いですが、技術的にはヴァイオリンの難曲の一つです。
J Johannes Brahms
  ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
   Hungarian Dances No.1for Violin and Piano (arr. Joseph Joachim)
   ハンガリー舞曲 第1番
   (ヨアヒム編によるピアノ伴奏編、エルノ・ローザ編ヴァイオリン)
ブラームスは1850年代の前半に、エドゥアルト・レメーニの伴奏者としてドイツ各地で演奏を行い、 その時にレメーニからロマ(ジプシーと呼ばれてきた集団のうちの主に北インドのロマニ系に由来し 中東欧に居住する移動型民族)の民族音楽を教わり魅了されます。 それ以来ブラームスはそれをハンガリーの民族舞曲と信じて採譜を続け、出版しました。 この演奏では私の編曲も加えています。 初め16楽節をジプシーバンドのシンバルのようなトレモロ・ラプソディースタイルに仕上げました。
K Maurice Ravel
  モーリス・ラヴェル(1875-1937)
   Tzigane
   ツィガーヌ(1924年作曲)
「ツィガーヌ」は「ロマ」を意味するフランス語で、日本でいうところのジプシーです。 ラヴェルはブダペストで現地のジプシーがヴァイオリンを演奏しているのを聴きました。 彼は聴き取りの優れた才能を持っています。 この曲でも、本物のジプシー音楽の要素が多く入っています。 同時に、彼自身のスタイルも持ち、全体として新しい音楽に仕上がっています。

◆◆◆CD2枚目◆◆◆
@〜B Ludwig van Beethoven (Live recording)
    ルードヴィヒ ファン ベートーヴェン(1770-1827)
   Sonata for Violin and Piano Nr. 1 in D-major Op. 12-1
     ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第1番 ニ長調 Op.12-1
   第1楽章 Allegro con brio
   第2楽章 Tema con variazioni. Andante con moto
   第3楽章 Rondo. Allegro
ベートーヴェンはドイツ人の作曲家でピアニストです。 彼は西洋音楽のクラシック期とロマン期の間の時代に活躍しました。彼の残した作品は最も有名であらゆる作曲家に影響を与えました。 ヴァイオリンとピアノのためのソナタは、たいていの音楽家が学校で習うスタンダードナンバーです。 クロースや、ボッケリーニ以降のソナタのクラシックの形式は、もちろん全て取り込まれていますが、さらにバロック期を通しての ハーモニーや対位法の習得によりソナタの形式を発展させています。 第1楽章のテーマはすでにパワフルで、直ちにベートーヴェンらしいスタイルを感じることができます。そこには速さであったり、 ロマンあるヴィルトオーゾとしてのマナーがあります。 第2楽章では、ヴァイオリン、ピアノそれぞれに優しいメロディと輝かしい変奏があります。 第3楽章では、クラシック音楽での典型的なロンドのスタイルを見ることができます。 バロック期の踊りの軽快さや盛り上がりに満たされており、ヴィルトオーゾの最高のフィナーレを迎えます。
C Csiky Boldizsar (Live recording)
  チーキ・ボルディジャー(1937- )
   Passacaglia Thema with Variations for Soloviolin
   「パッサカリア」無伴奏による主題と変奏曲
   (ヤーノシュ・ボヤイの数式 Δ=K2[π(A+B+C)]より)
ムサ・トランシルバニア シリーズ(Serie Musa Transsylvaniae)の中の1曲です。 ヤーノシュ・ボヤイ(1802-1860)という、初めて非ユークリッド幾何学を発見したハンガリー人数学者による 数式(Δ=K2[π(A+B+C)])についてのテーマです。 この数式がハンガリー人作曲家 チーキ・ボルディジャーによって、楽譜に変換されました。 19世紀の科学数学や宇宙学、近代天文学を表現するこの複雑な数式により、このテーマは鏡のような対称性を楽譜上で持ちます。
D Frederic Chopin (Live recording)
  フレデリック・ショパン(1810-1849)
   Nocturne cis-moll" for Violin and Piano (arr.Nathan Milstein)
   ノクターン 嬰ハ短調
   (ミルシテイン編によるピアノ伴奏編)
物憂げな気持ちを表現したショパンの最高傑作のひとつで、 このようなノクターンは他にないと言っても過言ではありません。 残念ながら、ショパン自身はヴァイオリン向けの楽曲は書いていませんが、 N.ミルシテインがヴァイオリンのための編曲をおこない、それが素晴らしい仕上がりとなりました。 こうして、ポーランドのモーツァルトと呼ばれた天才ショパンが表現する物憂げな世界をヴァイオリンで表現できるようになったのです。
E Henryk Wieniawski
  ヘンリク・ヴィェニャフスキー(1835-1880)
   Premiere Polonaise de Concert D-major Op. 4
   華麗なるポロネーズ ニ長調 Op.4(1852年作曲)
ヴィェニャフスキーはポーランドの、ルブリンで生まれました。歴史上の最も優れたヴァイオリニストの1人である彼は早くから才能を発揮し、 1843年にパリのコンセルバトワールに入学しました。卒業後、精力的にツアーやリサイタルを開催しましたが、 その際のピアノ伴奏は彼の弟のヨゼフが主に行っていました。 この曲は、カロル・リピンスキーという才能ある有名なヴァイオリン作曲家に捧げられたものです。 おそらく、ヴィェニャフスキーの作品の中で、最もよく演奏されているものでしょう。 タイトルの「ポロネーズ」とは、洗練されたポーランド舞踊のスタイルを意味します。 これは、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第3番の第3楽章で用いられているスタイル「ポラッカ」とも似ています。 優雅さと素晴らしいロンドの小気味よさ、それはショパンの作品でも良く使われていることで知られています。 ピアノのソロパートでの要求も高いです。 ロマン的で小気味よい音楽性の高さとともに、ヴァイオリンの演奏技法の難易度も非常に高く、高難易度の技法を多用しています。 中盤で切り替わる、短く物憂げなテーマもこの作品の空気感を支配する重要な要素となっています。
F Niccolo Paganini
ニコロ・パガニーニ(1782-1840)
    24 Caprices for Violin Op.1 No.24. a-Minor (arr.Robert Schumann)
    24のカプリースOp.1 No.24 主題と変奏曲 イ短調
   (シューマン編によるピアノ伴奏版、エルノ・ローザ編ヴァイオリン)
イタリア人のパガニーニは、ヴァイオリニストであり、作曲家でもあり、そして、ギタリストでもありました。 当時から史上最高のヴァイオリニストとも言われた彼は、近代のバイオリン技術の柱となるものをを残しました。 カプリース作品1イ短調 24番は、彼の作品の中でも有名なヴァイオリンのソロ作品です。そして、後世の多くの作曲家たちに影響を与えました。 彼の24のカプリースは、おそらく1805年〜1809年、彼がバチョッキ公のもと宮廷のヴァイオリン奏者として演奏していたころに作曲されたものです。 このカプリースの1、4、5、17、そして24番の素晴らしさは格別です。

ヴァイオリニストがカプリース24番をステージ上で演奏できれば、それは一流の証であるとよく言われています。 ヴァイオリンの楽曲としては、最高に難しく、高度な技術が多数要求されます。 一方で、この曲は有名なので、聴きに来るお客様たちも、この曲をよく知っています。変奏がどんどん難しくなっていく中、 皆が次の変奏ではどの音が来るのかを分かっていて、それを長く、速い、最高のフィナーレまで、ミスなく演奏しなければならないのです。 どれほどの奏者なら、この曲をステージ上で演奏できるのか…、それほどの恐怖がある曲でもあります。
G George Gershwin
  ジョージ・ガーシュイン(1898−1937)
   Three Preludes No.3(arr.Jascha Heifetz)
   3つのプレリュードより第3番
   (ハイフェッツ編によるピアノ伴奏版)(1936年作曲)
アメリカ人のジョージ・ガーシュインは、作曲家でありピアニストでもありました。 彼の作品はポピュラー音楽とクラシック音楽の両方のジャンルに属し、ヒット曲は広く多くの人に知られています。 その中でも、オーケストラ向けの作品「ラプソディ イン ブルー」と「パリのアメリカ人」、そして、歌劇「ポーギーとベス」です。 「3つのプレリュード」は短いピアノの楽曲で、はじめはガーシュイン自身によって1926年にニューヨークで演奏されました。 いずれのプレリュードもジャズの影響を受けた、20世紀初頭のアメリカのクラシック音楽の代表作として、知られています。 当時の聴衆たちは、この曲を変ホ短調の「スペイン曲」と呼びました。しかし、現代では、これは少し違う表現と感じるかもしれません。 (これはモーツァルトのトルコ行進曲について、現在では何よりもウィーン風の音色に聞こえますが、 当時は「オリエンタル」と言われていたのと似ています。) 短く、しかし、劇的な導入のあと、メインテーマが現れます。 2つのメロディーが「問い」と「答え」のような対になって流れます。この対が調和のとれた構造を全体にもたらします。 「問い」が変ホ短調で、「答え」がへホ長調で応じます。 編曲をしたハイフェッツはガーシュインの友人でした。この曲以外にも多くのガーシュインの作品を編曲しています。 3つのプレリュードの中でも第3番は、とても素晴らしく、また、非常にエレガントなジャズダンスのスタイルも持ています。 しかし、一方でスペイン的なテイストも聞き取れます。 この曲は、エルノ・ローザのアンコール曲でも人気の1曲です。
H Niccolo Paganini
ニコロ・パガニーニ(1782-1840)
   "Nel Cor Piu Non Mi Sento" Grand Bravoura Variations for Solo-Violin
   on a Theme by Giovanni Paisiello from the Opera "La Molinara",    Edited by Ernoe Rozsa
  パイジエッロのオペラ「水車屋の娘」より
  「うつろな心」による序奏と変奏曲 Op. 38(エルノ・ローザ編)
ジョヴァンニ・パイジエッロが作曲したオペラ『美しい水車小屋の娘』のなかのアリアをもとに、 パガニーニが変奏曲として1820年頃に作曲しました。 恋に苦しむ若者の絶望を表した作品で、やはり難曲の1つです。
I Antonio Bazzini
  アントニオ・バッジーニ(1818-1897)
   The Dance of the Goblins Op.25
   妖精の踊り Op.25 (1852年作曲)
バッジーニは少年時代にパガニーニの超絶技巧に接して影響を受けました。 この楽曲も強烈なヴァイオリン技巧を必要とします。原題を直訳すると「ゴブリンの踊り」です。 ゴブリンとは、小さくて、すばしっこい生き物で、暗がりで生活し、しばしば人を驚かせます。 しかし、曲の中盤の素敵なメロディからは、ゴブリンの優しさも垣間見えます。
J Johannes Brahms
  ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
   Hungarian Dances No.17 for Violin and Piano(arr.Fritz Kreisler)
   ハンガリー舞曲 第17番
   (クライスラー編によるピアノ伴奏編、エルノ・ローザ編ヴァイオリン)
「ハンガリー舞曲 第1番」の解説にも書いたように、 ブラームスが伝統的な祭りの中、レストランでの食事中に演奏されていたジプシーの ヴァイオリンの音楽を取り入れて、譜面に起こしましたものです。 この第17番はそれほど有名ではありませんが、美しく、繊細なダンスメロディです。
K Pablo de Sarasate
パブロ・デ・サラサーテ(1844-1908)
   Zigeunerweisen Op. 20
   ツィゴイネルワイゼンOp.20 (エルノ・ローザ編ヴァイオリン)
サラサーテは、スペイン人のヴァイオリニストで作曲家です。
ツィゴイネルワイゼン(Gypsy Airs)は、1878年にヴァイオリンとオーケストラのために作曲されました。ロマ民族のテーマに基づいた、チャルダッシュのリズムが特徴的な作品です。サラサーテの代表作で多くのヴァイオリニストが好んで演奏してきました。サラサーテ自身による録音(1904年)以降、多くの録音もなされています。鈴木 清順による映画「ツィゴイネルワイゼン」もその1つです。
ツィゴイネルワイゼンは1つの楽章ですが、4つのセクションに分けることができます。はじめ3つがハ短調で、最後がイ短調です。

1. Moderato(程よい速さで)
  ゆっくりと堂々としたエネルギーで、印象的なヴィルトゥオーゾらしい導入から始まり、その後、少しソフトなヴァイオリンが入ってきます。

2. Lento(のろく)
このセクションでは、即興的なメロディが聴けます。難解な技巧で走り抜ける、要求されるレベルの高い部分です。

3. Un poco piu lento(よりのろく)
ソリストによる物憂げで、落ち着いたヴァイオリンのメロディです。

4. Allegro molto vivace (速くとても活発に)
このセクションで、曲のテンポは劇的に速くなります。ソリストにとっては挑戦的とも言える部分で、優れた技巧と、芸術性の高いハーモニーで構成されています。

L Grigoras Dinicu (Live recording)
グリゴラス・ディニーク(1889-1949)
   La Ciocarlia(the Lark)
   ひばり(カデンツァ;エルノ・ローザ)
ディニクの「ひばり」はとても有名なルーマニアの楽曲です。ディニクはルーマニアのジプシーであり、クラシックヴァイオリニストでありました。彼は技術的にも音楽的にもレベルの高い楽曲を書き、いずれの作品も今日までずっと人気があります。 この曲では、途中、ひばりの美しい鳴き声が聞こえてきます。耳を澄まして、大いに楽しんで聴いてください。

Copyright (c) from 2012 Perpetual Copyrighted by Form. Professor at Elite University Ernoe Rozsa, Violinist. All rights reserved.